第1番 伊豆神社

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遠野三山誕生はここから

 来内地区は、上郷町から繁華街遠野に出る近道だが、人家まばらな地域である。その奥まった一隅に、伊豆神社はひっそりと佇んでいる。古くは伊豆権現と呼ばれ、大同年間(八〇六―八〇九年)に早池峰を開山した、始閣藤蔵が深く信仰したという。
 「大昔に女神あり…」との『遠野物語』に叙述のある、遠野三山誕生の説話は、ここに由緒を持つ。この地に来て、伊豆権現の社に三人の娘と宿をとった女神は、「今夜よい夢を見た娘に、最良の山をやろう」と約束。夜深姉の胸に霊華降りるのを、目覚めた末娘がひそかに取って自分の胸に。最高峰の早池峰山を得、六角牛山と石神(上)山には他の二人が住むと伝わる。神話的な味わいを強くする。
 近くに御産田、御産畑(鍋田)と称された場所もあって、女神が三人の姫神を宿ったとの伝説も聞かれる。足を延ばせば、遠野七観音のひとつ「谷行細山寺(平倉観音)」に行ける。ここも鬱蒼とした景観の中にあり、静かにもの思う旅人にはあいそうだ。

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